福田首相が辞任を表明したというので、大いに非難されている。その内容を分析すると、第一は唐突であること、第二は山積する問題を未解決のまま放置したこと、の2点である。
しかしその言い分は極めておかしい。そもそも世論は、福田首相の辞任を待ち望んでいたではないか。新聞のアンケート調査によると、内閣支持率は20%そこそこという低水準だった。野党はその数字を根拠にして、政権は一日も早く退陣すべきだと主張してきた。それだけではなく、問責決議まで行っている。つまり首相の早期辞任は、大方の望むところだったのである。
また、問題を積み残したままだと言うが、これもおかしな言いがかりだ。どの時点で切っても、政治というものに問題がないことなどあり得ない。国内では、一人一人の利害関係で常に対立がある。制度には矛盾もあり、ほころびもある。仮に現時点ではないとしても、条件が変われば評価は一変する。また国際問題は、われわれの意向とは無関係に時々刻々発生し、常に不安定であって予断を許さない。つまり政治には安定という概念がないのだ。だからこそ政治が必要ともいえる。福田首相は、政治が安定するのを待って辞任せよというのは、子供のないものねだりに似た幼稚な意見だ。
最近における政治の混乱に限って言えば、すべての原因は“ねじれ国会”にある。では、その“ねじれ”が生じた原因は何か。ほかならぬ国民による選挙である。したがって国民こそ、国政混乱の責任を負うべきなのである。政治の混乱は、国民の政治意識を写す鏡に過ぎない。
ただしここまで論及するならば、その国民を誰が動かしたかという問題にも触れなければならない。結論をいうと、それは左傾した日本のマスコミである。戦後の半世紀にわたり、彼らは政治的に純真で無知な国民を煽動し続けてきた。その成果が今やはっきりと現れてきたのである。春秋の筆法によれば、このままでは偏向マスコミが日本を滅ぼすであろう。
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