2008年12月20日土曜日

首相のKYとマスコミのHY

 先日わが家に遊びに来たカナダの留学生は、麻生首相の国際会議での英語のスピーチを大いに褒めていた。内容に迫力があり、言わんとする趣旨がよく理解できたという。すかさずミスは無かったかと尋ねると、笑いながらかなりあったと答えた。そして直ちに付け加えた。そんなことは問題ではない。海外のマスコミも概ね同じ考えだという。そして付け加えた。日本のマスコミが、KY(空気が読めない)といって、首相をからかうのを不思議がっていた。
 日本の場合はまったく違っている。些細な言葉使いのミスをあげつらい、ついには首相の発言のすべてが疑問視されるように、世論を誘導してしまった。あげくの果てに、首相はKYつまり“空気が読めない人物”というレッテルを貼るにいたった。このような文脈では、首相が訴えようとする問題の本質など論外である。つまりKYを揶揄するマスコミは、HYすなわち本質が読めないのだ。

2008年12月8日月曜日

お役所仕事は老人福祉施設でも変わらない

地方自治体は様々な高齢者福祉事業を行っているが、そのやり方には大いに改善の余地がある。以下はその一例である。
私の知人は埼玉県の某市にあるデイサービスセンターで、高齢者のためのボランティアをやっている。仕事の内容は老人の話し相手になってあげることだが、一人一人に心をこめて対応してあげるので、大いに慕われている。彼女が出掛けていく日を心待ちにしている人が何人もいるらしい。
ある日、彼女はそのセンターの所長から依頼を受けた。入浴サービスを受けている障害老人の、着替えを手伝って欲しいという。気のいい彼女は承諾した。本来、その作業はセンターに所属する専門のヘルパーの役割だから、その日に限ってと思ったからである。しかし所長は、翌日も翌々日も当然のようにその作業を依頼した。当然ながら彼女は抗議した。所長は謝ったが、そのときの弁解が振るっている。何しろ人手が足りないというのだ。
人手が足りなければ、所長は上部のマネジメントに増員を具申すべきだ。勝手にボランティアに肩代わりさせるなど筋違いも甚だしい。
それから何日かたって、障害老人の一人がボランティアの女性に話しかけた。あなたのお陰で、ヘルパーだけでなく他の職員のすべての仕事振りや態度が良くなった、というのだ。たぶん所長の指示によるものだろう。人手不足などではなかった。マネジャーもその部下も、単に仕事を怠けていただけなのだ。