2011年7月20日水曜日

浅薄な似非アナキスト

 先日(2011年6月6日)の毎日新聞に、驚くべき記事が掲載されていた。菅首相夫人・伸子氏の発言である。
「・・・・菅の原点はゲリラ、市民ゲリラということ。それをもっと思い出してもらわなくちゃ。昔からの支持者から、それをさんざん言われる。あと少ししかないから、何かやってくれないと面白くないよって。私もそう思う」。このような考え方の人物に、我々は国政を任せてしまったのである。あきれ果てて天を仰ぐしかないのである。
 そもそも菅首相は市民運動家として政治活動をやってきた人物だから、その基本的な考え方はアナーキズムに近い。アナーキズムとは、我々が依拠する現実の社会秩序や価値観の全てを否定する思想である。したがって、自分が属する国家、歴史、倫理、家族関係などのすべてに反感をもっている。そしてつまるところは、これらの破壊こそが目的になるのである。その文脈でみると、彼が首相に就任して以来の脈絡のない非建設的な行動が、ある程度は理解できる。ただ少しずつ明らかになってきたところだが、彼はどうも本物のアナキストではないようだ。そのために破壊といっても中途半端だ。したがっていずれは、これらの支持グループにも、次第に見放されていくのではないか。
 アナキストの破壊活動は、はじめはゲリラ行為によって遂行される。しかし菅氏だけでなく、彼を取り巻く民主党政権の面々は、予算編成のシキリで見せつけた稚拙さのように、いずれも中途半端だ。その意味では、まさに似非アナキストでしかない。だからゲリラ活動も半端だ。本物のアナキストであれば、破壊の徹底度が違う。しかし菅氏にはその能力も覚悟もない。ただ社会の不満分子に迎合して、現存の何かを思いつきで否定してきただけだ。その行為だけが、まさにゲリラ活動なのだ。同じゲリラやテロといっても、この点はアラブの本格的ゲリラとは違うところだ。

2011年7月17日日曜日

けりがついた従軍慰安婦問題

長年にわたり、韓国の反日与論をかき立ててきた従軍慰安婦問題がやっと決着した。今年(2011年)4月22日のことである。それも我々一般日本人にとっては、驚くような事実に基づいてのことである。

 戦時中、韓国の女子挺身隊員として日本軍への売春を強制されたとして、過激な反日運動をリードしてきたのは、梁順任遺族会々長であるが、この人物がソウル市警察当局によって詐欺で摘発されたのだ。
 罪状によると、この遺族会の会長と幹部は、日本政府から補償金をせしめてやると言って、3万人にのぼる会員から運動費をだまし取っていたという。本来、韓国に対する太平洋戦争時における強制動員犠牲者への補償は「太平洋戦争強制動員犠牲者に対する支援法律」によって行われる。そしてその財源は、「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題解決と経済協力に関する協定」に基づき、日本が韓国に提供したものである。この実質的な賠償金によって、「日韓の戦後補償問題が完全に解決したことを確認する」と規定している。したがって、その後の補償金を巡るゴタゴタは、全く無意味なモノなのである。それにも拘わらず、いつまでもくすぶり続けてきたのは何故か。すでに明らになっているように、この問題を商売(詐欺)にしようという人物がいたからである。かつて日韓親善サッカーの試合で、日本に謝罪と補償を要求する横断幕をスタンドに掲げた事件があったが、これも実は梁順人会長率いる遺族会の仕業であった。その目的は、自分たちの詐欺行為をカムフラージするためのお芝居だったと考えられる。
 しかしこの不愉快な事実の裏には、実はもっと陰険な策謀があったのである。その首謀者はだれか。西岡力東京基督教大学教授は、長年にわたる調査の結果、その張本人を突き止めた。朝日新聞の植村隆記者である。その経緯を簡単にまとめておこう。
 1991年の8月、反日活動家の青柳敦子が渡韓し、慰安婦問題で日本を糾弾するデモを組織化する活動を開始した。この運動は今も続いている。彼女がこの活動を始めたのは、在日第三国人に洗脳されたからだとされている。それはともかく、この運動は次第に力を得て、現在まで連綿とつづいているわけである。しかし、とくにこの運動に拍車がかかったきっかけは、1991年の8月10日に朝日新聞の植村記者が書いた特ダネである。この記事のポイントは、慰安婦として日本軍に強制連行された女性が、はじめて名乗り出たというのであった。引き続き12月には、植村記者は自分が書いた記事を強調するために、さらに長文のダメ押し記事を書いた。この二つの記事は、慰安婦問題は日本の軍すなわち日本の国家犯罪として、韓国人および反日日本人が日本を糾弾する最強の論拠となった。
 この一連の論調に疑問を感じていた西岡教授は、苦心の末に「はじめて名乗り出たという女性」にインタビューを試みた。その結果得た事実は次の通りである。
 この女性は、自分の名前は金学順であることと、その当時の職業がキーセンであったことを包み隠さず語った。すなわちキーセンとして、軍の慰安所で仕事を行ったのである。彼女の証言によると、同じ慰安所には日本人もいたという。つまり日本や韓国という国籍には関係なく、プロとして仕事を行ったのである。国による連行や強制という行為は、全くなかったのである。しかし朝日新聞・植村記者の記事は、彼女がキーセン出身であることに触れていない。つまりプロとしての行為であることを意図的に隠して、強制されたと書いているのである。この歪曲こそが、韓国人や反日日本人の活動意欲をいっそう高めた。そして1992年には宮沢首相が廬泰愚大統領に謝罪し、93年7月には河野議長、さらに95年8月には村山首相と、謝罪のオンパレードになったのである。
 朝日新聞の植村隆記者が、いかなる意図のもとにこのような歪曲記事を書いたか、その真意ははかり難い。しかし少なくとも、彼の夫人が梁順任氏の娘であるという事実は、念頭に置いておかなければならない。その梁順任氏は、このブログの冒頭で述べたように今年の4月、ソウル市警察に詐欺罪で摘発された人物である。

2011年7月15日金曜日

深層心理学への疑問

 正論の8月号に「嘘つき管直人を精神分析してみれば・・・」という見出しで、心理学者の林道義氏が記事を書いている。内容は、菅首相の性癖を精神医学から見て、幼児性として特徴付け、その根拠として次の4点を挙げている。

①ウソを言って逃げる
②対決関係を避けるため重要な情報を隠す
③大言壮語し、権力を誇示する
④権力をもてあそぶ
確かにこの4点は良く当たっているので、納得できる。ただし、たったこれだけの項目で、菅首相がこれまでの政治の場面で曝してきた数々の常軌を逸した言動を説明できるだろうか。またこの4項目を総括して幼児性という概念でまとめているが、そんな底の浅いモノだろうか。基本的にもっと深くて暗い偏執的な性格が潜んでいるように思われる。

 以前にも深層心理学者が当時の小泉首相を精神分析して、その診断結果を某誌に発表したことがあった。その要点は、性的な側面からの見立てであった。その論拠は、女性関係についてのスキャンダルが全く無いことに着眼したものであった。当時、私はこの心理学者のコメントを極めて不思議なものと感じた。
 菅首相の異常性をたんに幼児性で捉えたり、小泉元首相の特異性をリピドーの見地で解釈するなど、深層心理学による診断は、いかにも深みが無いものに思われる。人間の深層心理はもっと深みのあるものではないだろうか。あまりにもお手軽なものに思えてならない。

2011年7月4日月曜日

日曜美術館の司会者

 NHKの番組には、公共放送にあるまじき偏向思想に基づくものが多い。そのため私はあまり視聴しないのだが、日曜美術館だけは大いに珍重していた。ただしそれは以前のことで、最近はすっかり遠ざかっていた。理由は、司会者として姜尚中が起用されたからだ。美術にはまったく素人であるハズの政治学者が、あのビロードの声と称される不気味な低音で、見当違いの感想を述べ立てるのを聞くと、本当にいやになる。初めてこの番組に、彼が登場したときのショックは大きかった。NHKの御都合主義は、ここまで墜ちたのか。以来、私はこの番組を一度も見たことがない。最近になって、ようやくメンバーチェンジがあったらしい。大いに喜んでいる。
 ところで、上では姜尚中のことを政治学者と述べたが、本当にそうなのだろうか。実のところこの人物の学問的背景と実績がさっぱり分からないのだ。「アジアから読む日本国憲法」、「アジアから日本を問う」、「日朝関係の克服」、「悩む力」、「マックスウエーバーと近代」、「ナショナリズム」などいくつかの分野で時代迎合的な題名をつけた書籍を出版しているが、いずれも深みのないものだ。一例として「ナショナリズム」を挙げてみよう。
 この本の内容は、タイトルとはかなり離れていて、左翼的な立場に立った一種の日本批判論に止まっている。ナショナリズムの研究は、世界各国でも行われているのだから、本来はそれらも参考にして、もっと客観性のある論説にするべきだ。またナショナリズム運動そのものは、日本よりは韓国や中国でこそ活発に行われているのだから、それらについての実証的な論考も不可欠であろう。
 その一方で、政治的なスタンスは極めて鮮明だ。たとえば北朝鮮による日本人の拉致問題に関しては、「日本が拉致問題を理由に北朝鮮を支援しないならば、国際社会から孤立する。それがいやなら経済支援をやるべきだと発言している。またある会合では次のように述べた。もし横田夫妻が横にいたら、「在日同胞は過去に日本に強制連行されたのだから、北朝鮮ばかり批判するのはおかしい」と言うつもりだと。この「在日強制連行説」は、現在では完全に事実無根であることが証明されている。それを知ってか知らないでか、何れにしろ学者とは思えない偏った言説である。
 姜尚中が在日韓国人という立場と、実質的には日本人として生活している立場を、まるでコウモリのようにうまく使い分けて、ついに言論界のスターに成り上がった才覚については、ある意味では賞賛に値する。しかし情けないのは、そのような無節操や傍若無人ぶりを容認したり、持て囃す偏向マスコミの見識のなさだ。

2011年7月1日金曜日

株価と菅首相

 菅直人氏が首相に就任して以来、何一つ功績がない。国民にもたらしてくれたのたのは、政治の混迷と、不信と諦めだけである。歴代首相の中でもこれほどひどい人物は、鳩山氏を除いて珍しい。さすがの週刊新潮もやけっぱちになって、7月7日号には「今は辞めるな菅総理!」という記事を掲載している。その論旨が面白い。いま辞められても、まだ国民は懲りないかも知れない。もっと長引けば、いくらお人好しの国民でも、ついにはサヨク型インテリ主導の政治に音を上げるだろうというわけだ。

 実は私も、菅首相にはもう少し居座ってもらいたい。その理由は、僅かだが株を持っているからだ。周知のようにこの一年あまり株価は低迷を続けている。大方の意見も、菅内閣が続く限り回復の望みはないという。私も当初は同じ考えだった。しかし、最近になって考えが変わった。それを説明したい。
 いずれは菅直人氏も辞めるだろう。チャンスはその時だ。欲求不満でジリジリしていた産業界、なかでも現実的な証券界は、一斉に快哉を叫ぶだろう。つまり株価は暴騰する。その意味で菅直人氏がもたらしたマイナスエネルギーは、プラスエネルギーに反転し、投機筋にとって一種の救世主になる可能性がある。
 このパラドックスは荒唐無稽な冗談ではない。実はちゃんとした事例があるのである。それは、かってスターリンが死去したときの、証券界の反応である。このニュースによって株価は暴落したが、サヨクや似非インテリはそれを冷笑した。その論旨は次のとおり。
 「好戦的なアメリカの対立軸として、ソ連が頑張っている。その象徴ともいうべきスターリンがいなくなれば、アメリカはますます強引に世界制覇と侵略に向かうから、軍事面での紛糾は増大する。結果として軍需は増大し、インフレを助長する。つまり株価は上昇する」というわけだ。恥ずかしながら私もその説を信じた。しかし結果はどうだったか。株価は暴落し、長期にわたる不況のきっかけとなった。つまりサヨクインテリに蔑視されてきた俗物の代表のようなカブ屋が、直感的に正しい判断をしたことになる。すなわち真に好戦的なのは、アメリカ大統領ではなくて、スターリンだということだ。
 このように株価を予測し、取引する証券人の判断は恐ろしいほど冷徹だ。その立場で考えれば、同じく「癌」であっても、「菅という癌」は使いようによっては役に立つということだ。この人物の延命策が上手くいけばいくほど、失望のために株価は低迷する。しかし辞任という結果は目に見えている。多少の時間誤差があるだけだ。そえさえ我慢できれば、株価は必ず上昇する。兜町の住人にとって、これほど分かりやすく、うまい投機チャンスはまたとないだろう。