2011年7月15日金曜日

深層心理学への疑問

 正論の8月号に「嘘つき管直人を精神分析してみれば・・・」という見出しで、心理学者の林道義氏が記事を書いている。内容は、菅首相の性癖を精神医学から見て、幼児性として特徴付け、その根拠として次の4点を挙げている。

①ウソを言って逃げる
②対決関係を避けるため重要な情報を隠す
③大言壮語し、権力を誇示する
④権力をもてあそぶ
確かにこの4点は良く当たっているので、納得できる。ただし、たったこれだけの項目で、菅首相がこれまでの政治の場面で曝してきた数々の常軌を逸した言動を説明できるだろうか。またこの4項目を総括して幼児性という概念でまとめているが、そんな底の浅いモノだろうか。基本的にもっと深くて暗い偏執的な性格が潜んでいるように思われる。

 以前にも深層心理学者が当時の小泉首相を精神分析して、その診断結果を某誌に発表したことがあった。その要点は、性的な側面からの見立てであった。その論拠は、女性関係についてのスキャンダルが全く無いことに着眼したものであった。当時、私はこの心理学者のコメントを極めて不思議なものと感じた。
 菅首相の異常性をたんに幼児性で捉えたり、小泉元首相の特異性をリピドーの見地で解釈するなど、深層心理学による診断は、いかにも深みが無いものに思われる。人間の深層心理はもっと深みのあるものではないだろうか。あまりにもお手軽なものに思えてならない。

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