2011年7月1日金曜日

株価と菅首相

 菅直人氏が首相に就任して以来、何一つ功績がない。国民にもたらしてくれたのたのは、政治の混迷と、不信と諦めだけである。歴代首相の中でもこれほどひどい人物は、鳩山氏を除いて珍しい。さすがの週刊新潮もやけっぱちになって、7月7日号には「今は辞めるな菅総理!」という記事を掲載している。その論旨が面白い。いま辞められても、まだ国民は懲りないかも知れない。もっと長引けば、いくらお人好しの国民でも、ついにはサヨク型インテリ主導の政治に音を上げるだろうというわけだ。

 実は私も、菅首相にはもう少し居座ってもらいたい。その理由は、僅かだが株を持っているからだ。周知のようにこの一年あまり株価は低迷を続けている。大方の意見も、菅内閣が続く限り回復の望みはないという。私も当初は同じ考えだった。しかし、最近になって考えが変わった。それを説明したい。
 いずれは菅直人氏も辞めるだろう。チャンスはその時だ。欲求不満でジリジリしていた産業界、なかでも現実的な証券界は、一斉に快哉を叫ぶだろう。つまり株価は暴騰する。その意味で菅直人氏がもたらしたマイナスエネルギーは、プラスエネルギーに反転し、投機筋にとって一種の救世主になる可能性がある。
 このパラドックスは荒唐無稽な冗談ではない。実はちゃんとした事例があるのである。それは、かってスターリンが死去したときの、証券界の反応である。このニュースによって株価は暴落したが、サヨクや似非インテリはそれを冷笑した。その論旨は次のとおり。
 「好戦的なアメリカの対立軸として、ソ連が頑張っている。その象徴ともいうべきスターリンがいなくなれば、アメリカはますます強引に世界制覇と侵略に向かうから、軍事面での紛糾は増大する。結果として軍需は増大し、インフレを助長する。つまり株価は上昇する」というわけだ。恥ずかしながら私もその説を信じた。しかし結果はどうだったか。株価は暴落し、長期にわたる不況のきっかけとなった。つまりサヨクインテリに蔑視されてきた俗物の代表のようなカブ屋が、直感的に正しい判断をしたことになる。すなわち真に好戦的なのは、アメリカ大統領ではなくて、スターリンだということだ。
 このように株価を予測し、取引する証券人の判断は恐ろしいほど冷徹だ。その立場で考えれば、同じく「癌」であっても、「菅という癌」は使いようによっては役に立つということだ。この人物の延命策が上手くいけばいくほど、失望のために株価は低迷する。しかし辞任という結果は目に見えている。多少の時間誤差があるだけだ。そえさえ我慢できれば、株価は必ず上昇する。兜町の住人にとって、これほど分かりやすく、うまい投機チャンスはまたとないだろう。

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