先日(2011年6月6日)の毎日新聞に、驚くべき記事が掲載されていた。菅首相夫人・伸子氏の発言である。
「・・・・菅の原点はゲリラ、市民ゲリラということ。それをもっと思い出してもらわなくちゃ。昔からの支持者から、それをさんざん言われる。あと少ししかないから、何かやってくれないと面白くないよって。私もそう思う」。このような考え方の人物に、我々は国政を任せてしまったのである。あきれ果てて天を仰ぐしかないのである。
そもそも菅首相は市民運動家として政治活動をやってきた人物だから、その基本的な考え方はアナーキズムに近い。アナーキズムとは、我々が依拠する現実の社会秩序や価値観の全てを否定する思想である。したがって、自分が属する国家、歴史、倫理、家族関係などのすべてに反感をもっている。そしてつまるところは、これらの破壊こそが目的になるのである。その文脈でみると、彼が首相に就任して以来の脈絡のない非建設的な行動が、ある程度は理解できる。ただ少しずつ明らかになってきたところだが、彼はどうも本物のアナキストではないようだ。そのために破壊といっても中途半端だ。したがっていずれは、これらの支持グループにも、次第に見放されていくのではないか。
アナキストの破壊活動は、はじめはゲリラ行為によって遂行される。しかし菅氏だけでなく、彼を取り巻く民主党政権の面々は、予算編成のシキリで見せつけた稚拙さのように、いずれも中途半端だ。その意味では、まさに似非アナキストでしかない。だからゲリラ活動も半端だ。本物のアナキストであれば、破壊の徹底度が違う。しかし菅氏にはその能力も覚悟もない。ただ社会の不満分子に迎合して、現存の何かを思いつきで否定してきただけだ。その行為だけが、まさにゲリラ活動なのだ。同じゲリラやテロといっても、この点はアラブの本格的ゲリラとは違うところだ。
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