NHKスペシャルの「沸騰都市」シリーズで、5月28日に放映された「ドバイ」と翌日の「ロンドン」は、それぞれ見ごたえがあった。2つの都市に共通するのは、経済活動が異常なほど活発なことだ。ドバイの場合は極端な開発ラッシュで、海岸を埋め立てるだけでなく、海中に人口の島を作り始めた。そこに世界中から富豪を集め、贅沢な別荘生活を楽しんでもらおうという計画だ。そのシンボルとなる高層ビルの高さは、800メートルに及ぶという。ロンドンの場合は、いかにもお国柄を反映して、世界一の金融センターになることを目論んでいる。すでに結果は表れていて、今や実態はニューヨークを凌駕しているらしい。
この二つの都市に共通するのは、現在の活況が将来も続くという期待に支えられていることだ。ドバイの場合は開発が開発を生み、一日単位で地価が上昇している。その期待利益を元手にして、別の開発計画に出資する。その出資は更なる利益をもたらす。まさに投機が投機を生む循環プロセスである。同じようにロンドンは、思い切った金融市場の自由化によって世界中から金融資金が流入した。当初はウインブルドン現象と揶揄されたように、ロンドンの市場で活躍するのはモルガン、ゴールドマン、メリルリンチなどの外国企業が目立T、イギリス企業の影は薄かった。しかし今やロンドンは、単なる場所貸しから世界の金融センターに変貌した。規制をきら投機ファンドをはじめ、世界中の金融資金がロンドンの投機市場に流入する。資金は資金を呼び、止まることを知らない。
しかし経済活動で、無限の成長ということがあるのだろうか。すでに日本では土地神話に基づくバブルの崩壊を経験している。またアメリカでは、サブプライムシステムによる節度なき信用創造によって、底なしの金融不安に慄いている。
沸騰都市といわれるドバイとロンドンを支えているのは、結局のところ相変わらずの上昇神話に過ぎないのではないだろうか。今後の成り行きが気がかりでならない。
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