2011年11月29日火曜日

TPPにどう対応するか

 ブッシュ大統領がイラクとの戦争に踏み切ったとき、小泉首相は第一番に支持を表明した。当時のマスコミの多くは、この決断を「忠犬ポチ公」の振る舞いだと揶揄した。しかし、そのお陰で日米関係は以前にもまして良好になり、その後の複雑な国際関係において、アメリカの支持によって日本は多くの恩恵を得た。
 中世イタリアの小国フェレンティエの宰相であったマキャベリーには、次の言葉がある。「大国が行動を起こすとき、小国は即座に同調しなければならない。もし躊躇う様子を見せていたら、その大国が勝利したあと必ず報復されるであろう。また、いざというときには決して助けてくれないだろう」。
 いまTPPへの加盟問題で日本は揺れているが、アメリカがこれを提案するには二つの大きな目的がある。その1は経済の行き詰まり打破であり、その2は中国の封じ込めである。これらは、いま衰退気味のアメリカ経済を立て直すための重要なテーマである。この理由だけでも、日本がTPPに加盟する意義は大きい。しかもこの加盟は、日本自体にとっても意義のあることである。但しそれについては、ここでは省くことにする。もちろん関岡英之や東谷曉などの反対論者も数が多い。
 たしかに1984年に始まった日米構造協議などでは、アメリカのエゴが目立った。しかし状況は変化するのだ。いつまでも過去にこだわらないで、環境の変化を見極め、冷静に対処しなければならない。もちろん、それらすべてを忘れてはならない。深く重く心の中に止めた上で、対応しなければならない。それが大人として国際関係に臨む流儀であろう。いつまでも幼児っぽい原理主義では、腹黒い国が跋扈する国際社会の中で生き抜くことは難しい。

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