2011年3月10日木曜日

デフレの正体

 もう何年も続いている日本経済のデフレ傾向について、諸説が交錯しているが、その中でかなり目を引くのが藻谷浩介氏による「デフレの正体」論である。本書によるとデフレの原因は、人口構成にしめる高齢者の割合が高まったからだという。すなわち富裕層のかなりの部分を占める高齢者は、お金を貯め込んだままで、あまり消費に使ってくれない。つまりストックされたままなので、フローが活性化しないのだ。この状態を打破する一つの方法は、お金を富裕高齢者から若者へ移転させることだ。それを促進させるには、大幅な減税を保証する生前贈与の制度化が有効だと主張している。一般に高齢者に比べると、若い世代の方が消費意欲が旺盛だから、面白い提案だと思う。 ただ、これだけ冷え切った消費意欲の減退を回復させるには、それだけでは不十分だ。さらに強力なテコ入れ策はないものか。私はあると思う。それには従来型マーケティングの考え方を変えることだ。具体的にいうと、販売ターゲットを若者から高齢者に変えることだ。そして彼らにとって魅力的な商品を開発することだ。今のところこの視点で眺めてみると、あまりの貧弱さ画一さに驚かされる。高齢者といっても人それぞれである。趣味、経歴、資力、体力など、その違いは限りがない。それらのセグメントについてきめ細かく商品を開発していけば、需要は必ず喚起できる。 ユニクロは若者対象のマスプロ方式による安価モノで成功した。そのアンチテーゼとして、高齢社対象の多種少量生産による高価モノで頑張る企業がどうして出現しないのだろう。

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