2012年4月2日月曜日

マッカーサー元帥の証言

今年度から東京都立高校の歴史教材に、マッカーサー元帥がアメリカ議会で行った証言を、原文のまま掲載されることになった。それには日本が連合国と戦うことになった動機は、「連合国による経済封鎖を破るためであった・・・」と明記されている。これは戦争責任に関する教育界の認識としては、画期的な変化である。従来の考え方では、太平洋戦争は軍国主義日本が周辺諸国を侵略するために仕掛けたもので、歴史に残る一大汚点とされてきたのである。この戦争責任についての誤解または曲解は、長年にわたり善良な日本人のコンプレックスを形成してきた。

 マッカーサー元帥が60年前に行ったこの証言は、アメリカで直ちに公開されていて秘密事項ではない。それが日本では、今まで知られていなかったのは何故か。すくなくとも知識人を自負するエリートであれば、その多くが現地の新聞に接しているはずだ。まして日本を代表する4大紙(朝日、読売、毎日、日経)の外信記者であれば、この証言を熟知していたに違いない。それを記事にしなかったのは、明らかに意図があったのである。
 では何を意図していたのか。終戦から現在に至る半世紀、彼等はコスモポリタニズムの信奉者として、ずっと日本の与論をミスリードしてきた。その一方で日本の庶民が愛国心に目覚めるのを妨げるために、不当な戦争に参加した国民としての、贖罪意識や自虐意識を温存させたかったのである。その偏向思想に基づくマスコミの傲慢さには憤りを禁じ得ない。
 しかし今や日本を代表する四大新聞(朝日、毎日、読売、日経)に対する信頼感は完全に失われた。彼等が積極消極の両面で行ってきた情報操作のやり口が、明らかになってきたからである。積極的な操作の際立った事例としては、朝日がやった中国文化大革命の礼賛キャンペーンや、沖縄の珊瑚礁毀損のでっち上げ記事など数え上げればきりがない。しかし、それよりも陰湿なのは消極的なやり口である。冒頭で述べたマッカーサー証言の隠蔽のように、自らのイデオロギーに反する事実はすべて記事にしない。かつてニューズウイークの記者が、朝日のコラムニストに編集方針を聞いたことがあるが、その傲慢で幼稚な返答に一驚したという。朝日のモットーは、「啓蒙と反権力」であるというのだ。そのためには手段を選ばないというのだろうか。

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