2008年7月12日土曜日

インフレ懸念のときに消費者庁!

 福田首相は消費者庁の創設に意欲を燃やしている。その理由として、消費者の立場に立った安全と効率化を目指すという。この提言を額面どおり受け止めても、ごく当たり前のことで何の変哲もない。いまさら何を、という感じだ。それにしても、このような発想が必要かつ有効に作用し得るのは、経済がデフレ傾向にあるときではないだろうか。これから懸念すべきは、むしろインフレ対策であろう。
20世紀の後半は、先進諸国の技術革新によって、生産力すなわち世界市場への相対的な供給力は、需要を大きく上回っていた。そのため生産過剰をもたらし、慢性的な買い手市場になっていた。結果として第1次産業や第2次産業の比重は低下し、第3次産業への転換の必要性が喧伝された。
 しかしいまや状況は変わりつつある。原因の第一は中国、インドなどいわゆる中進国の台頭である。そのためこれらの国の生活水準は大いに高まり、消費物資へのニーズは爆発した。その影響は世界経済のすべてに及んでいる。とくに石油、食料、鉄鋼などの基幹物資の価格は高騰している。もはやインフレの気配は明らかである。将来も現在のような生産過剰状態が続くと考えるのは、大局的には時代錯誤というべきだろう。
この期に及びデフレベースの消費重点政策を強調するのは、将来の経済環境に関する基本認識が、あまりにもワンパターンで硬直しているように思われる。むしろ来るべき供給不足時代にふさわしい生産重視戦略や、それに基く政策こそ焦眉の課題ではないだろうか。

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