一昨年から今年にかけて旧友からの年賀状が激減した。亡くなったり施設に入居したり理由はいろいろあるが、一番多いのは、何となく音信が途絶えるケースだ。その一方で、若干ではあるが、新しく友人リストに加わった名前もある。その結果を加減すると、かなりの減少である。最繁期に比べると、おそらく四分の一程度になっているだろう。来年あたりからは十数名程度にしたい。
年賀状の数を減らそうと思うようになった動機の第一は、友人について考えを改めたからである。まず第一に幼友達である。この数年、私はかなり頻繁に故郷を訪れて彼等と会ってきたが、率直に言って話が弾むことはあまりなかった。それもその筈で、遊学や就職で彼の地を離れて以来、60年以上も経っているのだ。
第二は青春時代である。学校の寮などで生活を共にしたのがその始まりで、かなり濃密な友人関係ができた。また就職後の職場でも、仕事の関係で新しい知己を得ることが出来た。さらに年を経ると、社会生活のいろんな場面で、新たに親交を結ぶようになった人もいる。
しかし年月が経ったいま振り返ってみると、諺にあるようにまさに「去る者は日々に疎し」の感が強い。それはたんに距離や会う頻度などの物理的な状況を言うのではない。むしろそれを超越した人間としての共感の度合いである。
いまや高齢者となり、余命に限りあることを自覚するようになったからには、本音の感性と心境で付き合える友人を選びたい。それ以上のことに、なけなしのエネルギーを費やしたくない。いやなものは嫌、すきなものは好きで通したい。義理の付き合いや、惰性の付き合いをやめよう。そう決心したとき、名簿に残す友人の数は驚くほど少なくなってしまったのである。
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