2007年10月12日金曜日

ベッドサイドの雑談

 家内が難病に罹った。1年ほど前から何となく様子がおかしく、時々体の不調を訴えるようになっていた。昨年の暮れ、某大学病院に検査入院したところ、多系統萎縮症と診断された。以来、病状は確実に進行しているが、なす術もなく見守るしかない。難病というのは、治療ができない病のことなのだ。
 家内の一日は、ほとんど寝たきりといってもよいだろう。私は退屈さを紛らせてやりたいので、時々ベッド脇に腰掛けて雑談の相手になっている。とりとめもない話題が多いのだが、今日はかなりシリアスなことを話し合った。
 「私たちはやがて金婚式を迎えようとしていますが、この病気に罹ることが分かっていたとしても、あなたはプロポーズしてくれましたか」。
 「当たり前だよ。下らないことを聞くなよ」。
 「では、10年後に罹病することが分かっていたら?」。
 「もちろん同じだよ」。
「じゃあ、半年後にこうなることが分かっていても?」。
「答えは同じ・・・」。
「明日だったら?」。
「・・・・・・」。

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