2007年10月15日月曜日

理解されはじめた日本の文化

  四十数年前、フランスを訪問した池田首相は、ドゴール大統領からトランジスタのセールスマンと皮肉られた。彼に限らず欧米人の黄色人種への偏見は、歴史的にも根深いものがある。とくに日本人については、その傾向が甚だしかった。たぶん風采が貧弱なわりには優秀で、脅威を感じざるをえなかったからだろう。
  日本人の風采については、フランスの小説家ピエール・ロティは、まるで猿のようだと罵倒した。その印象をさらに拡大し、ついには日本を「猿」が住む島と表現している。漫画家のジョルジュ・ピゴーにいたってはもっとひどい。背が低く出歯で近眼という醜い日本人のイメージを、欧米人に定着させたのは彼の功績?といっていいだろう。このような嫌悪感と脅威感、つまり日本文化に対する無理解は、戦前から近年にいたるまで続いた。したがってトルーマンによる残酷な原爆投下の決定やドゴールの非礼は、日本人を「猿」とみなす欧米人の本音を、露骨に表したものといえるだろう。
  しかしグローバル化のおかげで、状況は一変した。日本文化に根ざした工業製品、芸術、漫画、ゲームソフト、さらには料理にいたるまで、欧米だけでなく世界中で高く評価されるようになった。グローバル化をプロモーとしたアメリカの魂胆はわからない。しかし結果として、日本の文化がこのように正当に評価されるようになったのは、とても喜ばしいことではないか。

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