2007年10月14日日曜日

価値観喪失の恐ろしさ

  食品や玩具などの有毒物質入り商品によって、中国の信用は地に落ちたが、このような退廃の原因は何だろう。プリンストン大学のペリー・リンク教授は、中国共産党支配によってもたらされた「価値観の喪失」によるものだという。すなわち中国には共産党が宣伝する真実と、大衆の生活から生まれる真実の二つがあるが、この二つの真実を併存させる矛盾が、価値観の喪失と偽善をもたらした。偽善の実例として、今なお天安門には毛沢東の巨大な肖像画を掲げているが、現実には資本主義の拡散を許している。政治的に従順でさえあれば、経済では何をやってもよいという風潮が生まれてしまったのだ。
  価値観の喪失や混乱は、差し当たっての日常生活には影響がないように見える。しかしその弊害は癌のように、長い年月をかけて健康な体を蝕む。中国では1956年から気狂いじみた反右翼闘争に大衆を駆り立てた。しかし毛沢東の死後は一変して、大衆に経済活動の自由を享受させている。かくして民衆の価値観は拠り所を失い、金儲けのためなら何をやっても良いという恐るべき事態に陥ったのだ。
  価値観の喪失がもたらす退廃の、格好の見本は日本である。戦後から現在にいたる戦勝国の政策と、それに便乗した左翼学者やマスコミなどによって、伝統的な価値観はことごとく破壊された。代わって提唱されたのはコスモポリタニズムであり、国連主義である。そのため朝日新聞のごときは、国益という用語さえタブーにしていた。しかし近隣諸国の露骨な国家エゴにさらされるにいたり、惰眠を貪っていた日本にも、どうやら覚醒の気配が窺えるようになった。今こそ祖国が培ってきた価値観を見直し、それに基づいた進路を確立しなければならない。

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