2007年10月19日金曜日

大衆の暗黙知

  暗黙知についてマイケル・ポラニーの原作を読むと、我々はかなり誤解しているように思う。彼によると暗黙知で最も大事なのは統合の知である。すなわち無数の情報断片を知覚している思考主体は、その断片の全てを統合して特定の概念を形成する。情報断片の相互関係を、言葉で説明することはできない。しかし断片と断片の間には明らかに関係がある。関係があるにも拘わらず、説明できないから暗黙知なのである。
  大衆を一個の思考単位とみれば、その集積体にも暗黙知が存在すると思う。例えばメディアのさまざまな批判やノイズにも拘わらず、大衆の小泉内閣支持率は圧倒的に高かった。これは大衆という集団化された思考主体が、暗黙知によって独自に判断していたと思われる。同様の事例は、嘗てスターリンの死去によって株式が暴落したときにも見ることができた。

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