2007年10月21日日曜日

政治は空気枕だ

 民主主義政治の難しさを説明するにはどうしたらよいだろうか。空気枕にたとえると分かりやすいと思う。政治的に解決を求められる課題や不満は限りなく多い。たとえばその一つが、政治という空気枕に強い圧力を加える。当然ながらその部分は改善されるので、表面の見かけは凹むことになる。しかしその凹んだ分は、必ずほかの部分を膨らます。なにしろ空気は外に出られないのだから、枕の中を移動するだけなのだ。要するに部分的な問題や不満を解決しても、その解決そのものが新たな問題や不満を生み出すことになる。これは民主主義政治、ひいては文明社会の宿命でありダイナミズムともいえるのである。
 独裁政治ではこのような堂堂巡りはあり得ない。なにしろ独裁政治という空気枕には、不満の圧力が全くないからだ。仮にそれがあれば、圧力を行使する前に抹殺される。かくして政治は至高の権力になるのである。共産主義国家が立法、行政、司法という三権分立を否定し、ひたすら特権階級の安泰を図ろうとするのはそのためである。

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