2007年8月24日金曜日

朝鮮半島の将来

韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、民族主義者であると同時に国家主義者でもあるらしい。彼が南北統合に熱心なのは、この二つの思想に基づいている。しかし南北分離以来すでに60年を経過した。その間には両者による凄惨な戦争もあったし、政治や経済の面では決定的なギャップが生じている。たんに感傷的な民族意識に期待して、この壁を取り払うのはあまりにもリスクが大きい。むしろ統合した後の、同族間の激しい相克も予想される。そうなればまさにバルカン半島のような事態になるだろう。もう一つの国家主義によって期待される国威発揚も見通しは暗い。北鮮は言うに及ばず韓国といえども、いま世界に向かって主張できる文化面の功績はあまりにも少ない。たしかに近年の経済発展は著しいが、その元を問えば、多くが日本の模倣である。かくして今やこの国では、日中サンドウイッチ論が囁かれている。両大国の挟間にあって、アイデンティティが失われるという危機感である。これもまた例によって、日本統治のせいにする論議に発展するかもしれない。しかし日本の韓国統治はわずか35年に過ぎない。歴史で言えばほんの一瞬の出来事だ。その程度のことで失われるアイデンティティなどは、本来はなかったも同然である。朝鮮半島の将来は、盧武鉉流の民族主義や国家主義にとらわれる限り見通しは暗い。

0 件のコメント: