完璧主義で凝り固まった朝日新聞の口癖は、「あってはならないこと」である。その足元で8月26日、名古屋でとんでもない事件が起きた。同新聞販売店の販売拡張員を含む3名が、路上で若い女性を誘拐し、殺害したというのだ。彼らは犯罪者仲間を募る携帯電話のサイトで知り合ったが、素性が分からないようお互いに偽名を名乗っていたという。この事件は新しい犯罪の手口として大いに注目されるが、ここではそれとは別に、朝日新聞の二枚舌(ダブルスタンダード)体質について追及したい。
大新聞の販売拡張体制のひどさは周知のことである。とくに不足がちの販売拡張員を確保するには、ありとあらゆる手段が講じられる。たとえば就職の際は前歴を一切問わないし、借金があればそれを立て替えてやる。このようにして集められた人材に、いかがわしい者が紛れ込むのは当然のことだ。
なぜ、そのようにまでして販売力、さらにはシエアを高めたいのか。かつて朝日は親左翼の立場から、産業界の成長拡大路線を批判していた。とくに大企業の拡販戦略については、独占をもたらすものとして反対してきた。下請けシステムについては、弱いものいじめの象徴とように扱ってきた。しかし自らのなりふり構わぬ拡販対策については、まるで口をぬぐったような態度である。
今回の販売拡張員の犯罪については、おそらく自社の社員ではないと説明するだろう。またそのような人材を雇わざるを得ない販売店の窮状については、他人の経営に容喙しないと言い張るだろう。しかし新聞販売店の下請け体制と、大企業の下請け体制のどこに本質的な違いがあるだろうか。朝日新聞は、建前と本音を使い分ける二枚舌の偽善体質を改めなければならない。さもなければ、大変革が予想される21世紀のマスコミ業界で、生き残ることは難しいだろう。
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