いまNHKで放映中の風林火山はかなり評判がよいらしいが、ここで取り上げたいのはドラマの出来栄えではない。戦国時代の会議のあり方である。この種のドラマでは、しばしば軍儀の紛糾する場面が演出されるが、大よそパターンは決まっている。すなわち重臣たちが各々の意見を述べ立てるが、やがて鋭い対立が生じ議論は膠着状態となる。首領はそれまで黙って聞いているが、この段階になってはじめて口を開く。いくつかの要点を衝く質問のあと、明確な決断を下す。
この軍儀のやり方と、現在の経営会議のやり方を比較すると面白い。いわゆるワンマン会社では、役員が意見を言う前にトップが自分の方針をまくし立てる。いわゆる討論ではなく、方針の伝達である。一方、権限委譲が進んでいる場合はどうか。それぞれの担当責任者が方針を説明し、他のメンバーはあまり口出ししない。専門分化が極度にすすんでいることもあるが、他人の縄張りを侵したくないという配慮もある。この場合の会議は、一種の情報交換といった方がよいだろう。
このようにして現在における経営会議の多くは、戦国時代の軍儀のように殺気が漲るようなものにはなりえない。その理由は、専門分化に由来する情報洪水のせいなのか。それとも経営があまりに複雑化したため、トップの情報処理能力と決断能力に限界が生じたのか。
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