日本は人口の減少を心配しすぎるのではないだろうか。この狭い国土に1億2000万人も住んでいるのだ。つい40年前は人口が多すぎると騒ぎ、8000万人が適正と論じた学者もいた。そもそも世界には、人口1億以上の国は11しかない。そのうち先進国はアメリカと日本の2国だけである。あとはアジア・アフリカにある6カ国と南米2国およびロシアだけだ。そんなことより、気にかけなければならないのは、いま急速に進行しつつある老齢化だ。これの対策は早急に考える必要がある。
国内経済で言えば、高齢者市場はすでに大きく花開いている。具体的には旅行、液晶テレビなどの超高級家電、趣味・教養および老人医療などの分野だ。その消費の勢いは今後も衰えることはないだろう。むしろ問題になるのは生産面である。相対的に若年労働者の割合が低下するからだ。一般に生産を担うのは若者であるから、これは大きな問題といえる。しかし短期的には、近年の技術革新によって自動化が進んだので、それをフルに活用することができる。そして長期的には、若者のセンシティブでパワフルな労働力と、高齢者の経験と熟練を組み合わせた新しい生産システムを構築しなければならない。これこそ今後の最大の課題になるであろう。
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