2007年9月11日火曜日

水清ければ魚棲まず

 知り合いの外資系企業の駐在員(イタリア人)は、日本語の勉強を兼ねてよくテレビの時代劇を見るそうだ。その感想がなかなか面白い。たとえば水戸黄門が、なぜあんなに人気があるのか理解できないという。パターンはいつも同じで、悪代官を懲らしめるというストーリー。
 腑に落ちないのは、あの程度の些事が問題になることだ。賄賂を取ったり、善良なライバルを陥れたりすることのどこが悪い。わが祖国イタリアで、そんなことを一々取り上げていたら、行政どころか社会そのものが成りたたなくなる。
 その意見を聞いて直ちに連想したのは中国だ。ついでに水清くして魚棲まずということわざも思い出した。このような大らかな意見を聞くと、昨今のわが国の政治の混乱は、いかにも子供っぽく感じられる。マスコミの記者諸君は、たぶん宝塚少女歌劇の熱烈ファンに違いない。政治家を論評する視点はただ一つ、“清く正しく美しく”だけなのだ。たとえば生き馬の目を抜く国際関係についての、政治家の見識や能力をどのように評価するのだろう。

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