かつて晴耕雨読は、魅力的なライフスタイルであった。しかし現在では、殆どの人がその生活を望ましいとは考えていない。なぜだろうか。今の日本でこのライフスタイルを選ぶことは、それほど難しいことではない。普通の老人であれば、年金や幾ばくの蓄えがあるので、飢える心配はないからだ。
しかし100年前に晴耕雨読が出来る人は、恵まれた一部の人だけだった。今はそれが出来るのに、やりたくないのはなぜだろうか。たぶん読書より楽しく面白い事柄がたくさんあるからだろう。たとえば旅行、テレビ、ゴルフなど枚挙にいとまがない。
その一方で読書そのものの魅力が、低下している。読書の魅力が薄れた理由の第1は出版物が多いわりに、魅力的な内容をもつものが少ない。第2は、社会の変化が激しく、内容がそれに追随できなくなっている。つまり書籍という情報形式は、スピードと映像の時代にそぐわなくなっている。この二つは、いずれも時代環境の変化がもたらしたものである。かくして晴耕雨読は、今では時代遅れのライフスタイルになってしまった。
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