2007年9月18日火曜日

人権主義と中国の苛立ち

  欧米や日本など民主主義先進国の人権主義は、中国にとって厄介な棘のようなものだ。そもそも途上国には、無知な大衆の数が圧倒的に多い。彼らは生きるためには、野生的な行動も辞さないだろう。いざとなれば文明国のようなルールなど通用しない。それどころか、群集心理がいつ暴発するかわからない。
  このような野性的な大衆をどのようにしてコントロールするか。極端な例でいえば、鰯のような大群の生存バランスは、基本的に統計論の法則にしたがっている。その大群は鰹や鰤に食い荒らされるが、それでも一定の歩留まりは保証されている。そのおかげで、いくら蚕食されても絶滅はしない。
  中国の政治理念も基本的には同じかもしれない。嘗ての文化大革命では1000万人が殺されたというし、最近では交通事故の死者は膨大な数に上るらしいが殆ど気にもかけない。この程度のロスを問題にしないのが伝統的な政治姿勢だし、間違っていたとも思っていないようだ。しかし最近では、この本音をあからさまにできなくなっている。中国はたぶん苛立っているだろう。民主主義国の人権主義は、中国にとって一種の嫌がらせのように感じられるのではないだろうか。

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