2007年7月1日日曜日
中国の深慮遠謀
中国人の発言を額面どおりに信じることはできない。それは個人レベルでも国レベルでも同じだ。彼らは腹に一物あっても、それを直接的には表現しないで間接的に表現する。だからその真意を注意深く読み取らなければならない。先日NHKで2日にわたり放映された特集番組「激流中国」も、そのつもりで読み解く必要がある。1日目は「格差社会の壁」で、2日目は「雑誌編集部」であったが、どちらも本来なら外国のテレビに取材されたくないはずのテーマだ。それを何故許したのか。まず「格差社会の壁」については次のように読み取ることが出来る。中国における経済勝者と敗者の差は、今では内外周知のことだ。隠せないので取材を許した。政府はむしろそれをあからさまにする事で、困難な和諧社会実現の正当化をアピールしようとしている。多分これからは腐敗官僚や不徳商人の粛清を始めるだろう。次の「雑誌編集部」は、マスコミの取材に対する妨害の実態を映したものだ。これもよく知られていることだから、今更隠しても無駄だ。そこでいっそのこと取材を認めた。では真の狙いは何か。それは言いなりにならない地方政権を押さえ込むことである。中央政府は地方政府のコントロールに手を焼いてきたが、今や決着をつけるべきときがきたと判断した。今回の番組では、自由な報道を妨害するのは地方政権だという印象を与えることが出来た。つまり報道の不自由を取材させる名目で、悪いのは地方政権というアピールをしたのだ。今後は地方政権に対する締め付けが積極的になるだろう。それをやりやすくするための前準備だったのだ。
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