2007年7月3日火曜日
マンションのコミュニティ
最近になって私が住むマンションでは、コミュニティの意識が高まってきた。新築入居22年目のことである。当初は住民同士がエレベーターで出会っても目礼さえしなかった。それもそのはずで、多くの人はわずらわしい近所付き合いから脱却するためにマンション生活を選んだからだ。今になって風向きが変わったのはなぜか。簡単にいえば、本来の人間の生活本能を取り戻したのだ。なぜか。22年の間に老人から幼児までの各世代が、満遍なく分布するようになったからだ。言い換えれば人生のフルコースが揃った。かくして本来の人間性に基づくコミュニティが生まれたのだ。入居時はそうでなかった。働き盛りの壮年者だけで、それこそミニ団塊を形成していたのだ。私はかねてから現代都市生活を代表するマンションで新しいコミュニティスタイルが発生するはずと考えていた。しかし何のことはない。日本のどこでも見られた伝統的なコミュニティのパターンが再現されたに過ぎないのだ。この半世紀において、日本は農村から都市へ一種の民族大移動が起きた。それによって農村のコミュニティは衰退し、一方の都市ではコミュニティが形成されるに必要な熟成時間が足りなかった。そして今、ようやく必要条件である世代のフルコース化が生じつつあるのだ。もちろん嘗ての農村に比べれば、その成熟度は低い。何しろ歴史が違う。片方は数百年で、マンションは2~30年だ。しかし農村のコミュイティは自然発生だが、マンションのそれは意図的だ。このてんがコミュニティ形成の速度と内容を大きく変えるだろう。
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