2007年7月23日月曜日
大学でビジネスが教えられるか
私の故郷である油津はかつて大漁港として繁栄したが、それに隣接する外浦はみすぼらしかった。しかし今は違う。油津は見る影もないが、外浦の漁業は盛んだ。その理由は幾つかあるが、とくに興味を引くのは後継者だ。油津が繁栄した頃、船主達は子息を大学に入れた。そのため頭でっかちな経営者になったという。一方、外浦は船主も貧しかったので、子息を船に乗せて手伝わせた。彼らはやがて逞しい船主を兼ねる船長になり、スリムな家業的経営に徹した。そのため、幾度かの漁業不況にも耐えることができたという。現場に徹した経営者の発想や働きは機敏で的確だ。その結果、今では最も先進的な経営になっている。彼らは魚を求めて世界中に進出する。そして獲れた魚は、現地で運搬船に移し、そのまま漁を続ける。運搬船は値段のよい市場に直行する。乗組員の交替は、飛行機だ。したがって漁船はメンテナンス以外は現場に止まるので、稼働率にムダがない。また乗組員の70%は外人だ。この効率の良いシステムは、机上では発想できない。現場の知恵だ。大学で教える企業論やベンチャービジネス論を学んで、このような知恵が得られるだろうか。
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